取引先は破産後どうなる?

法人は、通常、自然人の一般消費者に比べ、多くの利害関係人との間で複雑な利害関係を有しています。その中でも、法人は、取引先、具体的には、仕入先・外注先・下請業者・運送業者・フランチャイザー等と継続的に取引関係にあることは少なくないでしょう。
では、法人が破産した場合、これらの取引先はどうなるでしょうか。例えば、法人が取引先より物を仕入れて転売することによって利益を得るという事業を行っていた場合を想定してみましょう。

 

この場合、法人と取引先との間で、売買契約という契約が締結されています。すなわち、取引先は法人に対し、物を売り渡し、その対価として売買代金を受領します。これに対し、法人は取引先に対し、物を受領する対価として売買代金を支払います。
ここで、法人が破産したとします。仮に、法人は取引先より物を受領していましたが、売買代金が未払いであった場合、取引先の売買代金請求権は破産債権となり、破産手続きの中で処理されることとなります。
仮に、法人が物を受領する前で、かつ、売買代金の支払い前の場合には、双方未履行双務契約として、破産手続開始後、破産管財人が当該売買契約を履行するか解除するかを選択することになります(破産法53条1項)。破産管財人が物を転売することで破産財団の増殖が見込まれる場合には、履行を選択することもあります。
このように法人が破産した場合、取引先は破産法上の制約を受けることとなります。もっとも、上記例は、ほんの一例にすぎず、法人と取引先の契約関係によって、破産法上の制約も異なります。
また、法人が破産する場合に気を付けなければならないのが、取引先の連鎖倒産です。取引先が多ければ多いほど、取引額が高ければ高いほど、連鎖倒産のリスクは高まり、社会的な混乱は免れません。ですので、法人が破産する場合には、取引先に与える影響を最小限にとどめるためにも、破産を申し立てるタイミングを見誤ってはいけません。

 

上記のような混乱を避けるためにも、法人としては、いわゆる事業譲渡を検討する、というのも選択肢の一つでしょう。事業譲渡とは、会社の事業を第三者に譲渡(売却)することをいいます。事業譲渡であれば、取引先との関係を維持できる可能性がありますので、上記のような混乱を避けることが可能となり得ます。もっとも、事業譲渡を行うか否かは高度な専門的知識が必要となります。

 

以上のように、法人が破産した場合の取引先との関係がどのようになるかは千差万別であること、取引先の連鎖倒産を避けるためにも破産を申し立てるタイミングを見誤ってはいけないこと、事業譲渡を行うか否かは高度な専門的知識が必要となることから、一度、法律事務所にご相談されることをお薦めいたします。

 

 

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