解決事例

 

NO.25 破産申立 ⇒ 会社破産とアルバイトの未払給与
 
<事案>
 Aさんは,食品加工・卸売の代表を務めていましたが,大規模会社との競争による売上減少のため廃業し,会社と代表の破産申立をすることにしました。ただ,従業員は10名ほどいましたが,アルバイトがほとんどでした。ほとんどのアルバイトは,長期間務めており,Aさんはアルバイトの未払給与をとても気にしておられました。
 
<解決に至るまで>
 従業員の未払給与は,破産手続において財団債権または優先的破産債権となり(破産法149条,98条),一般的破産債権(銀行からの借入金や取引先の買掛金など 破産法97条)に優先して弁済または配当されます。従業員には,正社員だけでなく,アルバイトも含まれます。しかし,破産者に弁済・配当するだけのお金が集まらない場合は,破産財団から弁済・配当を受けることはできず,受けたとしても時間がかかります。
 Aさんの会社では,アルバイトを含め全従業員の給与台帳をきちんと作り,就業状況も管理できていたので,未払給与の立替払制度を利用することにしました。なお,Aさんの会社には退職金規程がなく,退職金支払の実績もなかったため,退職金は請求できません。
 この制度では,破産開始決定前6か月分の未払給与と退職金に限られ,年齢による上限額もありますが,最大で未払給与と退職金の8割の支払いを受けることが可能です。また,支払は破産開始決定から2か月ほどで受けることができます。
 
<最終的な結果>
 当方で,正社員とアルバイトの給与台帳と給与明細から未払給与を確認し,立替払用請求書を作成して全従業員に確認・署名押印後,破産管財人の証明を経て請求しました。未払給与の全額ではありませんが,請求後2か月ほどで全従業員の口座に立替払金が入金されました。
 未払給与をあきらめていた従業員は喜び,Aさんはほっとしておられました。
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