解決事例
NO.19 破産申立 ⇒ 同業種の知人が会社の機械・備品の一部を買取後,代表者と家族を雇い入れ,破産後も事業継続をした事例
<事案>
Aさんは,ご家族と共に服飾関連の部品製造会社を経営していました。同種の部品を製造する会社は国内で3社しかなく,その中でもAさんの部品は高品質で,有名ブランドに使われるものでした。しかし,昨今の価格破壊と外国製廉価品に押され,売上が減少し,月々の支払ができなくなったため,当事務所にご相談に来られました。
<解決に至るまで>
破産申立手続では,弁護士は,各債権者に対し,今後は本人に連絡せず弁護士を通すよう通知をします(この通知を「受任通知」といいます)。受任通知後,Aさんの人柄と,Aさんの部品が他社で代えられないことから,取引先などから「廃業しないでほしい」という連絡が相次ぎました。
取引先のB社から,「工場に空きスペースがあるので,Aさんの会社の機械を購入して置き,Aさんとその家族を雇って,引き続き部品を作ってもらいたい」との申し出がありました。Aさんは,喜んでB社の申し出を受けましたが,問題は会社の機械の売却です。倒産前の財産処分,特に廉価処分は,破産開始決定後破産管財人に否定され,元に戻すよう請求される可能性があります(この請求を「否認権行使」といいます 破産法160条)。そこで,数社の機械買取業者に価格査定を依頼して適正価格を出し,B社に適正価格以上の価格で売却しました。
<最終的な結果>
裁判所と破産管財人に,以上の事情を明らかにし,また,売却価格の資料を提出して適正価格であることを説明しました。その結果,破産管財人は否認権行使をせず,AさんはB社でこれまでどおり部品製造をすることができ,取引先も安心したとの連絡がありました。
現在Aさんは,ご家族と高品質な部品の製造をされています。