医療業における倒産・事業再生の特徴

医療業における倒産・事業再生の特徴

事業の特性

医療法人が運営する医療機関を前提として、医療業における医療法人病院のうち、70%を占める200床未満の中小規模病院についてご説明します。医療業とは、医師等が患者に対して医業または医業類似行為を行う事業及びこれに直接関連するサービスを提供することを言います。

種々の規制がある業種であること

病院を開設・増床するために、開設地域の都道府県知事等の許可が必要です。その際、基準病床数基準に満たない場合に不許可になります。そして、医師、看護職員の人員配置基準や衛生面、医療環境上の構造設備についても規制があります。また、医療法人は、業務以外の業務の運営が認められないが、医療機関運営に支障のない限りで定款に定める業務や売店業、駐車場業もできます。医療法人の代表・理事長は、原則医師や歯科医師である必要があります。医療価格も、全国一律に1点10円の報酬金額算定のための点数が定められています。

労働集約型産業かつ資本集約型産業であること

医療サービスは、人員面でも設備面でも様々な規制があることから、人の労働力に依存する産業でありつつ、設備が利益を生み出すような産業であるといえます。

窮境の原因

過大投資

総花的な施設拡大を行う病院は、高度な医療機器を備える資金と医師看護師を採用する人件費が必要になります。これらの必要な資金を借入金で賄っていると、借入金に対して十分な利益を得られず、返済の資金繰りに窮してしまいます。また、人員不足、設備の稼働率の低さ、患者数の不足等による利益を確保できなかったというケースが考えられます。

診療報酬のマイナス改定

公正価格である診療報酬のマイナス改定は、原価構成が一定のもとでの診療単価の切下げであり利益低下に直結します。過去長期間にわたってマイナス改定が続いたことにより厳しい経営状況に陥った医療法人は多いです。行政・制度の方向性に合致しない運営を継続している医療法人の業績は、厳しくなる傾向にあります。

倒産における特徴

手続選択のポイントについて解説します。

私的整理

医療法人においても、他の職種とは異ならず、一般的には私的整理が望ましいです。 通常は、法的手続による事業価値の毀損や医療法人の借入を連帯保証している理事長への経営責任の追及等を懸念して、私的整理で進める場合が多いです。

法的整理

医療法人は、通常の企業とは異なり、法的手続を利用することによる再生がより適合すると考えられます。なぜなら、病院事業が、民事再生の申し立てによる事業価値の毀損が生じにくい業態であるということ、破産に陥ることによって患者の生命身体に深刻な影響がでるために債権者に対して民事再生手続に対する協力を求めやすいという特徴があるからです。

事業再生における特徴

再建型

医療法上に規定された唯一の組織再編手法として、医療法人の合併による方法も存在します。この場合、スポンサーとなる医療法人は、当該医療法人と合併することによって、医療法人の権利義務を包括的に受け継ぎ、合併後の医療法人を前提に債権を図ることが可能になります。

清算型

病院事業をスポンサーとなる他の医療法人に譲渡し、当該譲受医療法人から支払われる譲渡代金をもって債権者への弁済や運転資金に充てるという事業譲渡による方法があります。また、病院の開設者が持分の定めのある社団医療法人の場合、当該医療法人にスポンサー、スポンサー関係者が入社することによって経営権を取得した後に、スポンサーが貸付等の方法によって医療法人に資金を供出し、医療法人が当該資金をもって債権者への弁済や運転資金に充てるという出資持分譲渡による方法があります。

弊社でできること

当事務所では法人破産・事業再生に関するご相談対応を行っております。通算150社以上の企業様のご支援をさせていただいた実績を生かして、最適なご提案をさせていただきます。

こちら主導ではなく、経営者様を想い等もくみ取ったうえで、対応方法を一緒に考えていければと存じます。まずは当事務所にお問い合わせいただき、面談にてお話をお伺いさせていただきます。

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